Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
どんなに悪くぐれても良人は良人、婦道とかいうものはべつとしても、十幾年のあいだ夫婦だったのは慥かなことだ。
「どうしたらいいだろう」あるき続けながら、おみきは途方にくれたように呟いた、「――芳っさんとおうめを早くいっしょにして、どこかほかへうちを持たせ、あたし一人で待っていたらどうだろう、人別を抜くことは抜いてもらったけれど、あの幸助という人でさえ捜し当てたくらいだし、うちの人がその気になれば、猿屋町のうちをつきとめるのはぞうさもないことだろう」
狂ったような顔をして、襖や障子を蹴やぶったり、家財道具を叩き毀したりする千太郎の姿が、まだ生々しく記憶に残っている。人別を抜かれていようといまいと、千太郎の帰って来ることに間違いはない、そして、おうめや芳っさんのうちも捜しだすだろう。あたしは夫婦の縁があるからしかたがないとしても、娘夫婦まで捲き込むわけにはいかない。どんなことをしたってあの二人にそんな思いをさせることはできない。では生き証人のいることに眼をつぶり、耳を塞いでやりすごすとしようか。そうすれば、なにもかもうまくいくだろう。自分たちにとっては、それが第一のことだ。