Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
「でもねえ、女世帯で角店に住むなんて、少し晴れがましすぎると思うから」
「女世帯だって誰の世話にもなっているわけじゃあねえ」芳造はいきまくように云った、「じみちに人一倍よく稼いでいるんじゃあねえか、少しはおんめちゃんのことも考えて、世間なみのくらしをしてもいいじゃねえか」
「そんなにぽんぽん云うなよ」喜六は苦笑いをしながら芳造に云った、「おめえは慥かべっこう屋の職人だとかいったな」
「日本橋本町三丁目の伊予巴の職人です」
「よくここの面倒をみてくれるようだな、家主のおれからも礼を云うぜ」
「よしてくんな、こっ恥ずかしい、こっちはまだ半人めえ、ここのおかみさんは江戸に幾人という腕っこきだ」
「芳っさん」とおみきが手で叩くまねをした、「そんなばかなこと云わないで」
「話はきまった」と喜六が胸を煽ぎながら云った、「引越しはあさって、掃除をして待ってるぜ」
そしておみきの返辞は聞かずに、芳造の肩を叩き、「いい娘だな」と囁いて出ていった。芳造の浅黒い顔がちょっと赤くなり、眼をぱちぱちさせながら、上り框に腰をおろし、水を一杯くださいと云った。そしておうめが立ってゆくうしろ姿をちらっと見、しんけんな表情でおみきに云った。