Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
自分は正常である。その方に話を持って行きたかった。医師の門をくぐるのと、それは矛盾しているようであったが、本能的な自己防禦が働く。自分の症状を軽く見せたいという気持が強かった。
それにもう一つの疑念があった。
〈この男は贋医者じゃないのか〉
実際に病院の中で、白い診察衣を着て、聴診器でも持っていれば、一応信用出来る。でも今の場合、この医者は和服を着て、ゆったりとソファに腰をおろしている。医者らしくない。医者であるという証拠は、何もない。ここに来るまでは、医者の家に行くんだと思っていたが、応接間で応対している中に、その疑念がきざし、だんだんふくれ上ってくる。
〈あなたはほんものの医者ですか?〉
と聞きたい衝動が起きる。しかしもしほんものだった場合、こちらがほんものの気違いだと思われるおそれがある。それではまずいので言葉にしない。
医者の質問はなおも続いた。そして結論みたいに言った。
「やはり抑圧があるようですな」
「抑圧と言いますと?」
「いろんなものが、重いものが、頭にかぶさっているのです。それを取除かねばならない」
「重いものがね」
美容院の前を通ると、女たちが白い兜のようなドライヤーをかぶっている。