Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

五郎はすぐにそれを連想した。

「ああ。つまり脱げばいいんですね」

「まあそういうことです」

「なるほど。しかし――」

兜をかぶっているのが常人で、今のおれの場合は兜を脱ぎ捨てた状態じゃないのか。頭がむき出しになっているから、普通人が持たない感覚を持ち、感じないものを感じているのではないか。生きているつらさが、直接肌身に迫って来るのではないか。その点おれが正常人の筈だ。瞬間そう考えたけれども、五郎は口に出さなかった。

「健康と不健康との境目は――」

「健康といいますとね、緊張と弛緩、亢奮と抑制などのバランスがとれている状態です」

医者は自信ありげに、煙草に火をつけた。

「大体人間というものはね、自分の心の尺度をもって物事をおしはかるもんです。疲れた時の心に写る世界と、活気に充ちた時のでは、同じ対象に接しても、まったく感じ方が異なるんですな。それにまたその人の性格がからんで来る。ますます複雑になって来るんですよ」

「すると抑圧をとるには?」

「いろいろ方法があるわけですね。電気ショックとか持続睡眠療法とか――」

「電気ショック?」

五郎は思わず声を高くした。

「やはり椅子に腰かけてやるんですか?」