Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
『トトトト』
ワレ突撃ス、という意味で、特攻隊から発信されるのである。ト連送が終った時が、一つの命がうしなわれた時なのだ。福の通夜の時、五郎はじっと考えていた。
〈あいつ、自殺するつもりじゃなかったのか〉
積極的に自殺を願ったのではないかも知れないが、五郎が感じたように、ここらで死んでもいいな、という気分は動いただろうと思う。それに福は酔い過ぎていた。気持が放漫になって、泳ぎ着ければそれでいいし、途中でだめならそれでもいい。泳ぎ出すことだけが自分の意志で、あとは運命に任せる。その気分の動き。
女が舌たるく聞いた。
「あんた、それで責任を感じたの?」
「責任? いや。福は自分から言い出したんだから、死んだのは彼の責任さ。しかしおれはとめなかった。一緒に泳いだ」
五郎は空を見上げながら、何気なく左手を女の肩に廻した。女は体をびくと震わせたが、拒否の気配は見せなかった。
「おれたちは同じ汽車に乗り合わせたようなものさ。前に乗り込んだ人が次々に降りて行く。新しいのが次々乗り込んで来る。途中下車をするやつもいるしさ。福なんかは途中下車じゃない。窓をあけて飛び降りたようなものだ。