Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
五郎は女に言った。
「強い酒を飲んで水に入るのは、一番危険なことなんだ」
「そう知ってて、どうして泳いだの?」
「悪いとは知ってたさ。しかしもっと悪いことだってした。若かったからね。若さで押し切れると思ったし、そして生命のすれすれまで行ってみたいという気持もあった。要するに荒れてたんだな」
福兵長はその年の三月頃から、五郎と行動を共にしていた。沖縄から『仁』の電文が届く。それを翻訳する。仁は次のような文章から始まる。
『本日ノ戦死者氏名左ノ通リ』
そして兵籍番号と名前が出て来る。福が翻訳した名前の一人に、彼の弟の名があった。ずいぶん後になって、福は告白した。
「いやな気持でしたねえ。しばらく暗号書を引く気にもなれなかった」
「可哀そうだなあ」
死んだ福の弟が可哀そうか、それを翻訳した福が可哀そうなのか、はっきりしないまま五郎は同感した。福は他のさまざまの電文で、彼の一家のある地帯がやられたこと、守備隊が全滅したことなどを知っていたらしい。あぶり字があぶられて出て来るように、自らの翻訳によって故郷の実況が出て来るのだから、つらい思いがしたに違いない。五郎もその頃しばしば、ト連送の電文を見た。