Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

ここにいる二人の兵隊も、同僚が居住区で何をされているか、よく知っている。偶然、電報を翻訳していたそれだけの理由で、それから免かれている。後ろめたさと漠然たる不安で、陰欝な表情のまま、暗号書を繰っている。何かやり切れない、不快な気持が、私をいらいらさせた。

「よし、居住区に行ってみる」

誰にともなく私は呟き、立ち上った。狭い通路を通り抜け、外はすでに黄昏であった。山道を走り登り、横に切れる小径へ降ろうとしたとき、私は思わず立ち止った。居住壕の入口に、吉良兵曹長が立っていた。そして、居住壕前の海を見下す斜面に、兵達は皆両手を土に着け、「前へ支え」の姿勢をしていた。吉良兵曹長は、三尺程の棒を片手に下げ、腰を下げて地につけたりしようとするのを、大声出して怒鳴りつけていた。私は歩をゆるめながら、そこに近づいた。

その姿勢を余程長く兵達がつづけているということは、その姿勢のくずれ方や、手を楽なように置き換えようとする絶望的な努力の様子で、はっきり判った。彼等はそろって頭を垂れていた。黄昏の薄い光の中で、私は私の足許の兵隊の額から、脂汗がしたたり落ちるのをはっきりと見た。