Japanische Klassiker mit Furigana
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もりのくらきよる
森の暗き夜
小川 未明
Lesen Sie 森の暗き夜 (もりのくらきよる) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.725 Zeichen · 18 Bildschirme
四
……
女は、座に居堪らず立上って、障子を開けた。鎌のように冴えた月が、枯れた木の枝にかかっている。やがて、青葉を縫って、青い月光は地平線にかしいだ。
まだ、女は平日の半分だも仕事をしていなかった。赤い爛れた目のようなランプは、月のなくなると共に再び暗い室を占領した。女は昨夜のように、東に向って、下を向いて仕事にとりかかった。
四辺は静かだ。暗い夜は、森の上に垂れ下がって、小鳥は夜の翼の下に隠れて眠ってしまったらしい。
「今晩は。」……女は、手を止めて頭を上げた。
ただ黒幕を張ったような室。金紙で作った花を貼り付けたように数えるばかりの星。森は黙って浮き出している。そこに恋しい人影がなかった。
四
あくる日、女は森に入って昨夜聞いた泉を探して歩いた。繁った青葉は、下の草を一層濃く青く染めた。
女の顔も、着物の色も、上の青葉の色が照り返って青かった。
女は、柔らかな夢を見ている草の上に坐って耳をそばだてた。微かな風の音。ひらひらと舞う青葉の光り。葉と葉とが摺れ合って、心地よい歌をうたっていた。
女は、男が来てから不思議のことが多い。聞かなかった泉の音を聞く。