Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
もりのくらきよる
森の暗き夜
小川 未明
Lesen Sie 森の暗き夜 (もりのくらきよる) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.725 Zeichen · 18 Bildschirme
ある日、女は、森に来て、かの怪しな鳥が、倦怠そうに大きな、光沢のある、柔らかな翼を、さも持てあまして、二羽が、互に縺れ合って巣を作っているのを見ていた。長い曲線的の頸は頸と絡み合っている、長い尾は、旗の如く風に翻っている。ただそこに異った、険しげな眼と、柔和の眼とが光っていた。今、下になって、さも疲れたように枝に掴まって、ぐったりとしている眼の柔和な鳥をば、雌鳥だと思った。雄鳥は、今、巣の下に仰向になって、なにやらを巣の中に押し入れている。海の藻草のような、女の頭髪のような、ひらひらとしたものは、半分切れて、下の枝にかかっていた。なぜだか、鳥は、それをそのままにして拾い上げなかった。残りの半分は、僅ばかり、もとのように風になびいていた。
空は、円く、悠然と垂れ下がっている。どこまで深さのあるものか、分らない。淡い、緑と青とが南と北とによって違っている。海鳥の胸毛のような、軽い、白い雲が、飛んでいる。巣を作っていた鳥は、けたたましく啼いた。女の腹の啼声も、けたたましくそれに応える。
女は、刺されるような痛みと、震いとを感じた。
枝の、緑色の芽を摘んで、じっとそれに見入って、女は涙ぐんだ。