Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
一ノ関はそれを覘っているのだ、と甲斐は思った。
彼が案じていたとおり、やがて富塚内蔵允がその問題をとりあげ、死罪には反対である、と云いだした。しかしすぐに、柴田外記がそれをしりぞけた。追放という旧科を秘して、城下へ戻っただけでも罪は軽くない。そのうえ江戸邸の中に住み、幼君に謁し、盃までもらったということは、主家の仕置を無視するばかりでなく嘲弄するに等しい。これを重科にしなければ、仕置の威信が失われてしまう、と外記は激しい調子で云った。富塚にはそれを反駁するだけの、根拠も熱意もなかったとみえ、すなおに外記の説を肯定した。
――これでまた一人、斬罪か。
甲斐はほっと安心しながら、同時に深い痛みを胸の奥に感じた。
半刻のち、二つの問題は裁決され、書役が記録を読みあげた。それは江戸番の家老、古内志摩に送られるので、外記と甲斐が署名捺印をし、津田玄蕃が預かった。そして外記が、評議の終ったことを告げた。
甲斐はいちばんあとから退出した。控えには松原十右衛門と村山喜兵衛が待っていた。肌着が汗になっていたけれども、甲斐はそのまま控えを出てゆき、車寄のところで、茂庭主水に追いついた。