Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
お茶をめしあがれ」
玄四郎は茶を啜った。
「わたくしに聞かせて下さいますか、あなたの御本心を、黒田さん」とつる女は云った、「わたくしたちに隠していらっしゃる、なにかのわけがあるのでしょう、どうしても結婚できないという、そうでしょう」
「それは」と玄四郎は眼を伏せた、「それは訊いていただきたくないのですが」
「わたくしだけにでも」
「理由があまりにめめしく、みれんなものですから」
妻女はさぐるように彼を見まもり、およそのことを推察したのであろう、劬りのこもった眼つきで頷いた。
「いい方でしたのね、よほど」と妻女は云った、「いまでもいらっしゃるんですか、お国のほうにでも」
「いや、知らないのです」
「お国のほうではないんですか」
「せっかくのお訊ねですけれども、この話しには触れないでいただきたいのです」
「そんなに」と妻女は口の中で云い、片手を筒にして口へ当て、ちょっと咳をした、「ようございます、主人から訊いておくようにと云われたんです、いい縁談があるものですからね、でもわかりました、ようございます、主人へはわたくしからよく申しておきます」
玄四郎は黙って低頭した。
「お仕合せね、その方」