Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
「話しがさきだ」と十左はもういちどふじこに手を振り、ふじこは去った。鷺坂は持っていた袱紗包みをひらき、十左はそれを止めて、「大事が出来た」と七十郎に云った、「席次争いの裁決があった」
「裁決だって」七十郎はけげんそうに十左を見た。
十左は眼を拭きながら頷いた。彼の眼は数年まえから病んでいて、絶えず涙が出、目脂が溜り、そうして視力が弱るばかりであった。頑なで負けない性分だから、視力の衰えは誰にも云わないが、目脂が溜ったり、いつも涙が出ることは隠せないし、それが彼を苛立たせ、怒りっぽくさせていた。
「そうだ、裁決だ」と十左は云った、「小野には、国老に対して慮外なふるまいがあった、死罪にすべきところではあるが、藩主が御幼弱で、上意のほどもうかがえぬから、当座逼塞ということにする、また氏家伝次は、若年の采女に頼まれて、辞退すべきところを引受け、国老を詰問したのは僣上である、これも切腹に処すべきであるが、同じ理由によって逼塞を命ずる、次に、伊東七十郎は浪人の身にもかかわらず、上を軽んじ政治を誹議した、これまた切腹に処すべきところ、特に一命を助けて、伊達式部に預けとする、――以上だ」