Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
そして彼は手を叩いた。
ふじこが来て、十左と鷺坂を浴舎へ案内した。七十郎は酒を命じ、思案を纒めるために、坐り直した。
――呼び出して詰腹を切らせるつもりだ。
という十左の意見を、七十郎は二つの面から検討してみた。第一は、そんな無法なことは有り得ない、という面を。そして第二は、有り得るという面から。十左は性急な気質だし、兵部に対して必要以上に憎悪と猜疑をもっている。一ノ関の名が出るだけで、すぐに不法と陰謀を考える。
「だが一ノ関は小人だ」と七十郎は呟いた、「兵部は小人で臆病者だ、決して大きなことをやる胆力はない、米谷どのは頑固だが、これは理非の明確な人だから、いちど逼塞と預け者に処したのち、呼び出して腹を切らせる、などということを黙過するわけがない」
十左は思い過している、と七十郎は呟いた。
ふじこが酒を持って来た。七十郎は酌をさせながら、ふと眼をあげてふじこを見た。
「久兵衛が射ったのはなんだ」
「――なんですか」
「さっきの話しだ」と七十郎が云った、「鉄砲を持って原田を跟け廻し、追い詰めたところで、原田を射たずにべつのものを射ったそうではないか」
「その話しはやめろと仰しゃったですよ」