Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme

Aozora Bunko

「私に云えることはこれだけです」玄察は恥じるように頭を垂れた、「――古内どのはなにか知っておられるかもしれない、また、なにも知ってはおられないかもしれない、ただ一つ、仙台六十二万石が安泰であるという事実、兵部宗勝が逐われて、伊達家の禍根が絶たれたという事実だけは現にわれわれの眼で見ることができます」

玄察は口をつぐんだ。云いたいことが胸いっぱいに詰まっていて、それをどう云いあらわしたらいいかわからない、というようすであったが、沈黙しているうちに、やや心がしずまったのだろう、大きな溜息をつくと、火桶の火をみながら、喉の奥でそっと笑った。

「こんなことを原田どのに聞かれたら、さぞ笑われることでしょう」と玄察はあっさりした調子で云った、「御坊、――」と彼は甲斐の口まねをした、「御坊、なにをそういきり立つのだ、まあお重ねなさい、もう一つまいろう」

玄察は盃をさす手まねをし、「もう一つまいろう」と繰り返しながら、急にがくっと、頸を折るように頭を垂れた。

宇乃の握り合わせた手指に力がはいり、指の関節から血のひくのが見えた。玄察は逞しい肩を小刻みにふるわせ、両手でその顔を掩ったが、やがて黙って立ちあがると、力のぬけたような足どりで方丈から出ていった。