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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

「もうなにも訊く必要はない、ただ、最後にひと言、一ノ関を除くと云ってもらいたい、一ノ関のことは引受けた、それだけを、ひと言、聞かせてくれ」

「少しおちつくがいい」と甲斐が云った、「それでは苦痛が増すばかりだ、少し休んで、気をしずめなければいけない」

「云ってくれないのか」

「人間の力には、限度があるようだ」と甲斐はもの柔らかに云った、「小野は自分にできるだけのことをした、もうあとのことに心を労する必要はない、この世のつとめをはたしたら、あとは平安に死ぬことを考えるがいいだろう」

「云ってはくれないのだな」

「言葉が役に立つか」と甲斐は云った、「小野が求めるとおりのことを、私がここで誓言したとして、それで小野が満足するか、満足できると思うか」

新左衛門の眼が、甲斐をみつめたまま動かなくなり、甲斐はその眼に頷いた。心をかよわせるように、頷いて、それから、ゆっくりと首を振った。

「耳や眼は騙されやすい、真偽を晦ますことは、さしてむずかしくはない」と甲斐は云った、「だが騙すことのできないものもある、神、仏、そして魂、もし神仏があり、人間にたましいがあるとしたら、これらは騙すことも晦ますこともできない」