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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

おみやはもういちど詫びを云い、そこへ、この家の主婦とみえる、年配の女が茶と菓子をはこんで来た。

「話しを聞きましょう」

二人きりになるのを待って、玄四郎がおみやを見た。おみやはうなだれていて、「はい」といったが、膝の上で両手をかたく握りしめたまま、やや暫く黙っていた。

――変ったものだ。

と玄四郎は思った。向島の茶屋で逢ったときからみると、まるで人が違うようだ。あのときの、みだらなほどむきだしな、情欲のかたまりのような姿はどこにも見られない。年はもう二十四か五歳になるだろう。あのときのようすでは、男の数も二、三ではなかったらしい。それがいまは、まったくうぶな、生娘のようにしか思えない。

――こんなに変った理由はなんだろう。

と彼は心のなかで思った。

「そんなに話しにくいのですか」と玄四郎が訊いた。

おみやはうなだれたままで、そっとかぶりを振り、お聞き苦しいかもしれませんけれど、聞いて頂きます、と云った。

おみやの話しだしたことが、なにを意味するのか、玄四郎には見当がつかなかった。おみやは自分の過去をすっかり語った。それはちょうど湯島の家で、宮本新八が甲斐に向かってした告白に似ていたが、内容はそれよりもはるかにいまわしく、汚辱に満ちたものであった。