Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
と帯刀は笑った。
宇乃は「まあ」といって羞み笑いをし、茶とか菓子とか、食事などの意味である、と答えた。帯刀は頷いて、宇乃は賢いからなと云った。
「私にはわからない」帯刀は空の向うへ眼をやり、ふと嘆息するような調子で云った、「父はなにか隠している」
宇乃は彼を見た。帯刀は、父はなにか心の内に隠している、と続けた。
「母を離別した理由もわからないし、あんなに親しかった松山の茂庭家や、涌谷の安芸さまと疎遠になったわけもわからない、里見十左衛門も来なくなった、――十左どのは、しんそこ父に傾倒していて、国許と江戸の往来には、必ず船岡で幾日か滞在していったし、いつも、父のためなら死も辞さないというようすだった、それが暫くまえから顔も見せない、街道を通っても、決して船岡へ寄ろうとはしないのだ」
なにかあったのだ、なにか重大なことが起こっているに違いない、と帯刀は云った。
「父は非常な重荷を負っているようだ、理由はわからないが、非常に辛い、苦しい立場にあって、それを一人で踏みこらえているように思う、私にはそう思われる」私はそれが知りたい、父の負っている重荷がなんであるか、父がどんな立場にあるのか知りたい、と帯刀は続けた、「父はお祖母さまにも話さないようだ、お祖母さまは勘づいているかもしれない、あのとおり気丈な方だ、父のことは