Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
などという、みれんなことを口にする人ではなかった。
――いっそ義絶してもらうか。
彼はそう思い、幾たびも兄にそう云いかけたが、それもあてつけがましいので、迷い迷いやめてしまった。
「こんどはいつ帰る」
北村を立つときに、兄が道まで送って来て訊いた。七十郎は、わからない、と答えた。
「こんど帰ったら、この土地でおちついてくれ、じつは嫁のはなしもあるのだ」
七十郎は黙っていた。
「おまえも三十代になる、もう身をかためておちつく年だ、父上にはそれだけがお気懸りらしい、おまえには仰しゃらなかったかもしれないが、おりにふれてぐちのようにそのことをお云いなさる」
「私はそういう気持はないな」と七十郎は云った、「まだそんな気持はない、そんな気持になるときが来るとも思われない、そんなことは諦めて下さるように、貴方から云っておいてもらうほうがいいと思う」
「そんなことがおれの口から云えるか」と善右衛門が云った、「父上は誰よりもおまえをお好きだし、おまえによって伊東の家名を世に出したいと思っておられる、御自分の夢をおまえに託しておられるのだ」
「そういうことは迷惑だし、滑稽だな」