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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

「よろしい、預かりましょう」と七十郎は云った、「もし必要なら、松山へも写しを作って渡しましょう」

「松山へ寄るのか」

「そのつもりです」

「いや、松山へはいい」

新左衛門は首を振り、済まないが休息する、と云って立とうとした。七十郎はどうぞと会釈したが、ふと義兄を見あげた。

「ここへは、なにか用でもあったんですか」

新左衛門は、うん、といった。

「刀自に会いに来たんだ」彼はちょっと躇ったが、七十郎の顔を見て云った、「私にはまだ船岡の気持がわからない、青根で話したときは、これはもうだめだと思ったが、あとになって考えると、本心を隠していたような気がしてならない」

「彼は人が変りましたよ」

「いつか私もそう云った」

「青根の話しのあとです」

「私もそう云ったが、しかし船岡はあれだけの人物だ、そうたやすく心変りをする筈はないと思う」

「で、どうだったんです」

「わからない」と新左衛門は太息をついた、「隠居の刀自は信じきっている、だが船岡のことはなにも知ってはいないようだ」

「彼のことは諦めましょう」と七十郎が云った、「私も江戸で会って、膝詰めで話してみたんです、もしも本音があれば、本音を吐かずにはいられないところまで追い詰めました、しかしむだでした、私は原田甲斐という男をよく知っています、ほかの者にはわからないことでも、私にはわかるんです