Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
「着替えをたのむ」と甲斐は起きあがった。
おくみは甲斐に抱きつき、そっと抱きしめたが、すぐにはなれて、自分の衿褄をつくろいながら、立ちあがった。
茂庭周防は裏の小座敷にいた。――外はもう明るんでいるであろう、雨戸が閉っているので、その小座敷は暗く、雪洞の光を横からうけて、周防の顔は片かげりに尖ってみえた。
甲斐は生麻の帷子の着ながしに、脇差だけ持って出て来た。
「急の出府だな」
「昨日の暮れまえに着いた」と周防が云った、「此処へ来るのは危険だと思ったが、もらった手紙について、涌谷さまの伝言があるから押して来たのだ」
「聞かせてもらおう」
「そのまえにきくが」と周防は甲斐を見た、「手紙に書いて来たことには、根拠があるのか」
「根拠はない」
「そこもとの想像か」
甲斐はそうだとうなずいた、「酒井侯のようすで判断したのだ、侯の私に対する態度が、あまりに辛辣で執拗すぎる、なんのためかよく考えてみた」
雅楽頭ほどの人物が、兵部宗勝などを近づけ、兵部の子に自分の養女をめあわせ、一万石の直参大名にしたのはなぜか。さらにさかのぼって、陸奥守綱宗を、ほとんどこじつけに等しい理由で譴責し、これに逼塞を命じたのはなぜか。