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Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

そう云って梶が何心なく足を組み変える拍子に、芳江の手に彼の足先きがふと触れた。初めて触れ合う皮膚であった。梶は思わず足を引いたが芳江のほッと赧らむ顔からも視線を避けて起き上ると、

「水をくれないか」と催促した。

度度前から芳江と視線が合うものの、その度に気まり悪げに俯向(うつむ)く芳江と同じように、梶もそそくさと他所眼(よそめ)をしながら、芳江の顔を正視しかねているのであった。いつもは家にいると怒鳴りつけるように大声で妻に用事を命じる梶の癖も、このときは何となく恰好(かっこう)がつかずに庭の松の大木ばかりに眼が奪われるのを、どうも不思議な松だとじっと梶は眺めていた。

「世界を廻って来たお蔭で悟りがなくなってしまったぞ」

梶はにやにやしながら妻の持って来た水のことなど忘れているとき、馳(か)け込んで来た四つになる子供が父の梶を見てびっくりしたらしく笑顔もせず急に立ち停った。

「おい、来なさい」

こう梶は云うと、子供は黙ったまま、冠(かぶ)っていた帽子をずるずる鼻の下へ引き摺(ず)り降ろして顔から取りのけようとしなかった。

「パパお帰りなさいっておっしゃいよ。