Japanische Klassiker mit Furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Lesen Sie 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.396 Zeichen · 23 Bildschirme
が、歌麿の微笑は冷たかった。
「お旗本のお使いと聞いたから、滅多に粗相があっちゃならねえと思って断らせたんだが、なぜまともに、おきただといいなさらねえんだ」
「そういったら、お師匠さんは、会ってはおくんなさいますまい。――永い間の御親切を無にして仇し男と、甲州くんだりまで逃げ出した挙句、江戸へ戻れば、阪上様のお屋敷奉公。さぞ憎い奴だと思し召したでござんしょう。――ですがお師匠さん。おきたの心は、やっぱり昔のままでござんす。ふとしたことから、お前さんの今度の災難を聞きつけましたが、そうと聞いては矢も楯も堪らず、お目に掛れる身でないのを知りながら、お面を被ってお訪ねしました。――ほんに飛んだ御難儀、お腰などおさすりしたい心でござんす」
黙って眼を閉じていた歌麿は、そういってにじり寄ったおきたの手の温みを膝許に感じた。
「いや、折角の志しだが、それには及ばねえ。今更お前さんに擦ってもらったところで、ひびのはいったおれの体は、どうにもなりようがあるめえからの」
きのうまでの歌麿だったら、百に一つも、おきたの言葉を拒むわけはなかったであろう。まして七八年前までは、若い者が呆れるまでに、命までもと打込んでいた、当の相手のおきたではないか。