Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme
と一閑斎が士卒を励まして遂に城を陥れた。折柄父の輝国は多聞山の居城にいたが、青木主膳から我が子のけなげな武者振りを聞いてうれし涙にかきくれたとある。一閑斎も「今日の働き神妙に候」と云ってその武勇を褒めそやしたが、「あれはゆくすゑ恐ろしき者なり、わが亡き後は筑摩家の家運いかゞあるべし」と、ひそかに近侍の者にためいきを洩らしたと云うから、槍先の功名のみならず、智謀胆略の尋常でないことが、此の時すでに一閑斎の眼にとまって警戒されるようになったのであろう。「道阿弥話」の中で輝勝自身が語っているところに依ると、一閑斎の長子織部正則重も亦此の城攻めに参加していた。当時則重は十八歳、即ち輝勝より二歳年嵩であったが、輝勝に比べると器量骨柄が甚しく見劣りしたので、父の一閑斎がそれに気が付かぬ筈はなく、内心深く憂えている様子が明かであったから、輝勝は常に自ら警めて一閑斎父子の疑惑を招かないように努めたと云う。
しかし戦場に於ける勇士としての輝勝を叙することは此の物語の目的でない。以上に述べたようなことは、「筑摩軍記」の「箕作城落去のこと」の条その他くさ/″\の軍記類にも皆記されている事実である。