Japanische Klassiker mit Furigana
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きまぐれのにんぎょうし
気まぐれの人形師
小川 未明
Lesen Sie 気まぐれの人形師 (きまぐれのにんぎょうし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.963 Zeichen · 10 Bildschirme
と書いてある箱の中にはいっている人形は、その顔を描くときに、私の気持ちが晴れ晴れとしていましたから、そう書いたのです。そして、もう一方の箱の中に入っている人形の顔を描いたときには、なんとなく私の気持ちがもの足らなさを覚えていたから、字の書いてない箱の中に納めたのです。」と、おじいさんは答えました。
娘は、みょうなことをいうおじいさんも、あるものだと思いました。
「そんなら、こちらのなにも書いてない箱の中に入っているお人形さんは、不しあわせな人形なんですか。」と、彼女は、おじいさんに問いました。
おじいさんは、大きな眼鏡の底から、落ちくぼんだ目を輝かして、じっと娘の顔を見ながら、「それは、人間の身の上も、人形の身の上も同じことです。だれも行く末のことを知るものがありません。ただ、私が人形の顔を描くときに、一方は気持ちよく、一方は、なにか心の中にもの足らなさを感じていたというまでです。」と、おじいさんは答えました。
娘は、高いほうの人形と、安いほうの人形と、二つ買いました。そして、その店から出ました。空の色は、水色がかって、月がほんのりと夢のように浮かんで、港の町の屋根を照らしていたのです。