Japanische Klassiker mit Furigana
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きまぐれのにんぎょうし
気まぐれの人形師
小川 未明
Lesen Sie 気まぐれの人形師 (きまぐれのにんぎょうし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.963 Zeichen · 10 Bildschirme
そこで、彼女は店先の戸を開けて、中に入りました。
「お人形を見せてくださいな。」と、娘はいいました。
脊を円くして、人形の顔を描いていたおじいさんは、このとき筆を下に置きました。そして立ってきて、娘の前へ、たなの上にあった二つの箱を下ろして並べました。
「さあ、どちらになさいますか。」といって、おじいさんは聞きました。
娘は、二つの箱の中から人形を手に取って見くらべたのであります。一つの箱には、「しあわせ人形」と書いてありました。そして、もう一つの箱には、なんとも書いてありませんでした。
「こちらのほうは、すこし価が高うございます。こちらのほうは、すこし安うございます。」と、おじいさんはいって、「しあわせ人形」と、書いてある箱の中に入っている人形は価が高いのだといいました。
娘は、そのどちらも手に取り上げて、よく見ましたけれども、すこしも顔や、形に、ちがいはありませんでした。
「どこが、ちがっているのですか?」と、彼女は、おじいさんにたずねました。
「この二つは、見たところでは、どこもちがいはありません。ただ、人形の顔を描いた時分の私の気持ちです。『しあわせ人形』