Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいごういぶん

水郷異聞

田中 貢太郎

Lesen Sie 水郷異聞 (すいごういぶん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.516 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は翌日宵の計画どおり女といっしょに小舟に乗って、湖縁を××へまで往ってそこから汽車に乗って東京へ帰った。女は日本橋檜物町の素人屋の二階を借りて棲んでいる金貸をしている者の女で、神田の実業学校へ通うていた。女はそれ以来金曜日とか土曜日とかのちょっとした時間を利用して遊びに来はじめた。

彼はその時赤城下へ家を借りて婆やを置いて我儘な生活をしていた。そして、放縦な仲間の者から誘われると下町あたりの、入口の暗い二階の明るい怪しい家に往って時どき家をあけることも珍らしくなかった。

ある時その時も大川に近い怪しい家に一泊して、苦しいそうして浮うきした心で家へ帰って来て、横に寝そべって新聞を読んでいると女の声が玄関でした。婆やは用足しに出かけたばかりで取次ぎする者がないので己で出て往かなければならないが、その声は聞き慣れたあの女の声であるから体を動かさずに、

(おあがんなさい、婆やがいないのです、遠慮はいらないからおあがんなさい)

と、云って首をあげて待っていると女が静に入って来た。

(昨夜、お朋友の家で碁がはじまって、朝まで打ち続けてやっと帰ったところです、文学者なんて云う奴は、皆痴者の揃いですからね、……そこに蒲団がある、執って敷いてください)