Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かっぱ

河童

芥川 竜之介

Lesen Sie 河童 (かっぱ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.576 Zeichen · 75 Bildschirme

Aozora Bunko

僕は年の若い河童の技師とこの工場の中へはいり、水力電気を動力にした、大きい機械をながめた時、今さらのように河童の国の機械工業の進歩に驚嘆しました。なんでもそこでは一年間に七百万部の本を製造するそうです。が、僕を驚かしたのは本の部数ではありません。それだけの本を製造するのに少しも手数のかからないことです。なにしろこの国では本を造るのにただ機械の漏斗形の口へ紙とインクと灰色をした粉末とを入れるだけなのですから。それらの原料は機械の中へはいると、ほとんど五分とたたないうちに菊版、四六版、菊半裁版などの無数の本になって出てくるのです。僕は瀑のように流れ落ちるいろいろの本をながめながら、反り身になった河童の技師にその灰色の粉末はなんと言うものかと尋ねてみました。すると技師は黒光りに光った機械の前にたたずんだまま、つまらなそうにこう返事をしました。

「これですか? これは驢馬の脳髄ですよ。ええ、一度乾燥させてから、ざっと粉末にしただけのものです。時価は一噸二三銭ですがね。」

もちろんこういう工業上の奇蹟は書籍製造会社にばかり起こっているわけではありません。絵画製造会社にも、音楽製造会社にも、同じように起こっているのです。