Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うきぐも

浮雲

二葉亭 四迷

Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

この時日は既に万家の棟に没しても、尚お余残の影を留めて、西の半天を薄紅梅に染た。顧みて東方の半天を眺むれば、淡々とあがった水色、諦視たら宵星の一つ二つは鑿り出せそうな空合。幽かに聞える伝通院の暮鐘の音に誘われて、塒へ急ぐ夕鴉の声が、彼処此処に聞えて喧ましい。既にして日はパッタリ暮れる、四辺はほの暗くなる。仰向て瞻る蒼空には、余残の色も何時しか消え失せて、今は一面の青海原、星さえ所斑に燦き出でて殆んと交睫をするような真似をしている。今しがたまで見えた隣家の前栽も、蒼然たる夜色に偸まれて、そよ吹く小夜嵐に立樹の所在を知るほどの闇さ。デモ土蔵の白壁はさすがに白だけに、見透かせば見透かされる……サッと軒端近くに羽音がする、回首ッて観る……何も眼に遮るものとてはなく、唯もう薄闇い而已。

心ない身も秋の夕暮には哀を知るが習い、況して文三は糸目の切れた奴凧の身の上、その時々の風次第で落着先は籬の梅か物干の竿か、見極めの附かぬところが浮世とは言いながら、父親が没してから全十年、生死の海のうやつらやの高波に揺られ揺られて辛じて泳出した官海もやはり波風の静まる間がないことゆえ、どうせ一度は捨小舟の寄辺ない身に成ろうも知れぬと兼て覚悟をして見ても、其処が凡夫のかなしさで、危に慣れて見れば苦にもならず宛に成らぬ事を宛にして、文三