Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
尤もあの室で、偶然市長の口から聞いた「市長の鍵」がなくなって、金庫が開かないというのは、考えてみると相当重大問題だ。失くしたか盗まれたか、そこまでは、ハッキリしなかったようであるが、もし盗まれたとしたら、これは由々しき一大事だ。なにしろ「市長の鍵」というのは、T市にたった一個あるだけの黄金色眩ゆい大事な鍵で、歴代の市長は、後任者へ事務引継ぎの際、親しく手から手へ譲り渡して、名誉と権限と秘密とを一緒に伝えるという由緒ある鍵である。もしそれが盗まれたとしたら、それは前代未聞の出来ごとで、これは警視総監閣下も親しく陣頭に立って捜索に当らねばならない大事件であると思う。
市長があのとき「総監閣下云々」と云ったのは、狼狽して云い間違えたのではなく、不用意にも、その「市長の鍵」紛失事件を黒河内総監には通じて置いた事実を曝露したものではあるまいかと思った。
そうなると、僕は一体、どっちの事件に突進したらいいだろうか。こっちの「市長の鍵」事件を探索するか、それとも行方不明の「深夜の市長」を探し出してその正体と一味、徒党の秘密をあばくかそのいずれに手をつけたらいいのだろう。