Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
そんなことを考え考え歩いているうちに、僕はいつしか役所ぢかくまで戻ってきたことに気がついた。もう時刻は午に近い、これからいまさら役所にかえるのも面白くないと思ったので、足を向きかえて、久し振りで日比谷公園の中に入っていった。
春をやがて迎えることになった花壇は、園丁の苦心で、早や咲きのチューリップ、ヒヤシンス、シネラリヤ、オブコニカ、パンズイなどを程よき位置に移し、美しい花毛氈が組立てられていた。僕は身も心も、にわかに浮々とした胡蝶のようになり、そこに据えられてある一脚の腰かけの上に腰を下して、泰西渡来の鮮やかな花の色と仄かに漂っている香りとに酔っていたが、わが魂はそぞろにとおくなるのを覚えた。
しかし僕の夢はそう永くは続かなかった。
というのは、すぐ前をギャンギャンと、途方もない大きな声で、獣かなにかのように泣き叫んでいる女の子が通りかかったからだ。その女の子を見て、僕は愕いた。身体の小さい割に、頭が極めて大きいのだ。飛び出したお凸額の下には、泪にあふれた腫れぼったい瞼があった。顔の色はこれがほんとの蒼いのだといいたいくらい不健康な色をしていた。