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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme

Aozora Bunko

身体には汚れきった花模様のあるメリンスの着物を着ていた。これこそ、紛れなき丘田お照の子、絹坊だった。

「あッ、絹坊……」

と思わず手を伸しながら立ち上った僕は、そこに二重の愕きを経験しなければならなかった。それはこの絹坊の後から追いついて来た立派な洋装の女が、いきなり、絹坊の手を執って歩きだしたからだ。見覚えのある総毛皮のオーヴァを着こんだこの贅沢な女は、外でもない隣りの空き家に越して来た女マスミだった。

「やあ、マスミちゃんも……これはどうしたんです」

その声に、向うでも気がついたと見え、愕いて駈けよってきた。

「あらまあ、貴方でしたの……」と目を瞠って会釈した後で、「昨夜はどうも……」と、恥かしそうに身体をねじるようにして挨拶をした。それはなんともいえぬ色気があった。

「なんです、この変った道行は……」

「いえ、お母アさんが見えないというので、あたし連れて来たのよ。今朝起きてみたら、勝手の板の間の下でゴトゴトいうのよ。あけてみると、まあ愕くじゃありませんか、この子が縁の下を匍いまわっていたのよ。……それからとりあえず、上に上げて聞いてみると、お母アさんが居なくなったというでしょう。