Japanische Klassiker mit Furigana
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おんしつのこい
温室の恋
国枝 史郎
Lesen Sie 温室の恋 (おんしつのこい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.010 Zeichen · 22 Bildschirme
五
恰も季参が彼女の良人で、その良人の眼を盗みながら、不義の快楽にでも更けっているように、私達は快楽に更けるのでした。
五
私は大変幸福でした。美しい婦人に愛される! これ以上の幸福はありますまい。ほんとに彼女は衷心から私を愛してくれました。私の方でも狂人のように彼女を愛しているのです。この上の欲には例の季参が不気味の眼をして監視しないように、そして酒井が悲しそうな、失恋の傷手に堪えないような、憐れな様子を為てくれないようにと、願うばかりでございました。
けれど虫のよい此願だけは二つとも失敗でございました。季参は益々私達の様子を憎悪に充ちた眼付をして鳥渡の油断も無く見張るのでした。酒井は酒井で憔衰した元気の無い顔を曇らせては矢張り遠くから私達の様子をじっと眺めて居るのでした。
「ほんとに気の毒な酒井さん」彼女は或時斯う云って気が無さそうに笑いました「あの人は今に今よりももっと気の毒な身分になりましょうよ」
「それでも貴女は私の以前にはあの人を愛していらっしったのでしょう?」
私は若干かの嫉妬を以て斯う突っ込んでやりました。
「いいえ、愛してはいませんでした。