Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
だけどさ、そんな事になったら、第一、お前さん自身が片なしになってしまうじゃないか。ねえ、少しは自分の胸にも、聴いてみるもんだよ。早苗ちゃん、どう、これが私の邪推かしらん。お前さんは、この頃変ってきちゃいないかい。もうあの人を、憎んでばかりいるんじゃないだろうね」
云われて、早苗が狼狽の色を隠せなかったほど、お悦は彼女の心の核心を突いたのだった。
異常な関心を、一人の男に持ちつづけてきたことが、今になってみると、ただ膠着という結果よりほかにないのだった。最初抱いていた、あの熾烈な憎悪も、近頃ではどうやら惹き合うものが現われてきて、早苗は、愛憎並存の異様な心理に悩むようになってきた。
しかし、お悦の言葉には、強く頭を振ったのである。
「なにを云うのかと思っていたら、姐さんも、案外心理学者ね。だけど、私の気持おんなじよ。たとい、お金を貰ったにしろ、この稼業は当分続けてゆこうと思うの」
「マア、呆れたよ。すると、お前さんのような人間が、ほんとうの淫売婦なんだね。お金を持っていて、どうやら暮してゆけるくせに、それでいて、男を道楽したいというのが、ほんとうのお女郎なんだよ。