Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
あった。
けれども、その不思議な単色画は疑いもない人影であって、数えたところ十人余りの一団だった。
そして、いまや潜航艇「鷹の城」の艇長――故テオバルト・フォン・エッセン男の追憶が、その夫人ウルリーケの口から述べられようとしている。
しかし、その情景からは、なんともいえぬ悲哀な感銘が眼を打ってくるのだった。海も丘も、極北の夏の夜を思わせるような、どんよりした蒼鉛一味に染め出されていて、その一団のみが黒くくっきりと浮び上がり、いずれも引き緊った、悲痛な顔をして押し黙っていた。
そのおり、海は湧き立ち泡立って、その人たちにあらんかぎりの威嚇を浴せた。荒けあとの高い蜒りが、岬の鼻に打衝かると、そこの稜角で真っ二つに截ち切られ、ヒュッと喚声をあげる。そして、高い潮煙が障壁から躍り上がって、人も巌も、その真白な飛沫をかぶるのだった。
風も六月の末とはいえ、払暁の湿った冷たさは、実際の寒気よりも烈しく身を刺した。しかも、岬の鼻に来てはすでに微風ではなく、髪も着衣も、なにか陸地の方に引く力でもあるかのよう、バタバタ帆のようにたなびいているのだ。
人たちは、いずれも両脚を張ってはいるが、ともすると泡立つ海、波濤の轟き、風の喊声に気怯じがしてきて、いつかはこの蒼暗たる海景画が、生気を啜りとってしまうのではないかと思われた