Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
「話をしたのはほんとうに野田さんなのです。僕は※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)を云うのではありません」
「よし! 此方へ来い!」
貝島は彼の肩先をムズと鷲掴みにして荒々しく引き立てながら、容易ならぬ気色で云った。
「此方へ来て、先生がいゝと云うまで其の教壇の下で立って居なさい。お前が自分の罪を後悔しさえすれば、先生はいつでも赦して上げる。しかし強情を張って居れば日が暮れても赦しはしないぞ」
「先生、………」
と、その時野田が又立ち上って云った。沼倉は横目を使って、素早く野田に一瞥をくれたようであった。
「ほんとうに沼倉さんではありません。沼倉さんの代りに僕を立たせて下さい」
「いや、お前を立たせる必要はない。お前には後でゆっくり云って聞かせます」
こう云って貝島は、遮二無二沼倉を引立てようとすると、今度はまた別の生徒が、
「先生」
と云って立ち上った。見るといたずら小僧の西村であった。その少年の顔には、平生の腕白らしい、鼻ったらしのやんちゃんらしい表情が跡かたもなく消えて、十一二の子供とは思われないほど真面目くさった、主君の為めに身命を投げ出した家来のような、犯し難い勇気と覚悟とが閃めいて居るのであった。