Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
「いや、先生は罪のない者を罰する訳には行きません。沼倉が悪いから沼倉を罰するのです。叱られもしない者が餘計なことを云わぬがいゝ!」
貝島はかあッとなった。どうして皆が沼倉の罪を庇うのだか分らなかった。それほど沼倉は、常に彼等を迫害したり威嚇したりして居るのだとすれば、ます/\以て怪しからん事だと思った。
「さあ! 早く立たんか早く! 此方へ来いと云うのになぜ貴様は動かんのだ!」
「先生」
と、又一人立ち上ったものがあった。
「先生、沼倉さんを立たせるなら僕も一緒に立たして下さい」
こう云ったのは、驚いた事には級長を勤めて居る秀才の中村であった。
「何ですと?」
貝島は覚えず呆然として、掴んで居る沼倉の肩を放した。
「先生、僕も一緒に立たせて下さい」
つゞいて五六人の生徒がどや/\と席を離れた。その尾について、次から次へと殆ど全級残らずの生徒が、異口同音に「僕も/\」と云いながら貝島の左右へ集って来た。彼等の態度には、少しも教師を困らせようとする悪意があるのではないらしく、悉く西村と同じように、自分が犠牲となって沼倉を救おうとする決心が溢れて見えた。
「よし、それなら皆立たせてやる!」