Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Lesen Sie 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.666 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

最初の印象で、わたくしは何の拠るところもなく、吉原か洲崎あたりの左程わるくない家にいた女らしい気がしたのが、却て当っているのではなかろうか。

言葉には少しも地方の訛りがないが、其顔立と全身の皮膚の綺麗なことは、東京もしくは東京近在の女でない事を証明しているので、わたくしは遠い地方から東京に移住した人達の間に生れた娘と見ている。性質は快活で、現在の境涯をも深く悲しんではいない。寧この境遇から得た経験を資本にして、どうにか身の振方をつけようと考えているだけの元気もあれば才智もあるらしい。男に対する感情も、わたくしの口から出まかせに言う事すら、其まま疑わずに聴き取るところを見ても、まだ全く荒みきってしまわない事は確かである。わたくしをして、然う思わせるだけでも、銀座や上野辺の広いカフエーに長年働いている女給などに比較したなら、お雪の如きは正直とも醇朴とも言える。まだまだ真面目な処があるとも言えるであろう。

端無くも銀座あたりの女給と窓の女とを比較して、わたくしは後者の猶愛すべく、そして猶共に人情を語る事ができるもののように感じたが、街路の光景についても、わたくしはまた両方を見くらべて、後者の方が浅薄に外観の美を誇らず、見掛倒しでない事から不快の念を覚えさせる事が遙に少ない。