Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かわ
牛をつないだ椿の木
Lesen Sie 牛をつないだ椿の木 (かわ) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 75.647 Zeichen · 155 Bildschirme
いま手に持っていた本が、ふと気づくと、もう手になかった。どこにおいたか、いくら頭をしぼっても思い出せないというふうであった。お使いにいって、買うものを忘れてしまい、あてずっぽうに買って帰って、まるでラジオで聞く落語みたいだとわらわれたこともあった。
もとから久助君は、どうかすると見なれた風景や人びとのすがたが、ひどく殺風景にあじけなく見え、そういうもののなかにあって、じぶんのたましいが、ちょうど、いばらの中につっこんだ手のように、いためられるのを感じることがあったが、このごろはいっそうそれが多く、いっそうひどくなった。こんなつまらない、いやなところに、なぜ人間は生まれて、生きなければならぬのかと思って、ぼんやり庭の外の道をながめていることがあった。また、つめたい水にわずか五分ばかりはいっていただけで、病気にかかり死なねばならぬ(久助君には、兵太郎君が死ぬとしか思えなかった)人間というものが、いっそうみじめな、つまらないものに思えるのであった。
三学期のおわりごろ、ついに兵太郎君が死んだということを、久助君は耳にした。べんとうのあと、久助君は教だんのわきで日なたぼっこをしていた。