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Japanische Klassiker mit Furigana

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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Lesen Sie 牛をつないだ椿の木 (かわ) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 75.647 Zeichen · 155 Bildschirme

Aozora Bunko

よく川に落ちもせずに。

久助君は胸があつくなり、なみだが目にあふれ、ぽとぽとと落ちた。

子山羊はひとりで帰ってきたのだ。

久助君の胸に、ことしになってからはじめての、春がやってきたような気がした。

四

久助君はもう、兵太郎君が死んではいない、きっと帰ってくる、という確信をもっていたので、あまりおどろかなかった。

教室にはいると、そこに、――いつも兵太郎君のいたところに、洋服にきかえた兵太郎君が、白くなった顔でにこにこしながらこしかけていた。

久助君は、じぶんの席へついてランドセルをおろすと、目を大きくひらいたまま、兵太郎君を見てつっ立っていた。そうするとしぜんに顔がくずれて、兵太郎君といっしょにわらいだした。

兵太郎君は、海峡のむこうの親せきの家にもらわれていったのだが、どうしてもそこがいやで、帰ってきたのだそうである。それだけ久助君はひとから聞いた。川のことがもとで、病気をしたのかしなかったのかは、わからなかった。だが、もうそんなことはどうでもよかった。兵太郎君は帰ってきたのだ。

休けい時間に、兵太郎君が運動場へはだしでとび出していくのをまどから見たとき、久助君は、しみじみこの世はなつかしいと思った。