Japanische Klassiker mit Furigana
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かわ
牛をつないだ椿の木
Lesen Sie 牛をつないだ椿の木 (かわ) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 75.647 Zeichen · 155 Bildschirme
それでいてしずかだった。
久助君は目をひらいて、柱にもたれていた。なにかよいことがあるような気がした。いやいや、まだ悲しみはつづくのだという気もした。
すると遠いざわめきのなかに、ひと声、子山羊の鳴き声がまじったのを聞きとめた。久助君はしまったと思った。生まれてからまだ二十日ばかりの子山羊を、昼間川上へつれていって、こん虫を追っかけているうち、つい忘れてきてしまったのだ。しまった。それと同時に、子山羊はひとりで帰ってきたのだと確信をもって思った。
久助君は、山羊小屋の横へかけだしていった。川上の方を見た。
子山羊は、むこうからやってくる。
久助君には、ほかのものはなにも目にはいらなかった。子山羊の白いかれんなすがただけが、――子山羊と自分の地点をつなぐ距離だけが見えた。
子山羊は、立ちどまっては川っぷちの草をすこし食み、またすこし走っては立ちどまり、無心に遊びながらやってくる。
久助君は、むかえにいこうとは思わなかった。もうたしかにここまでくるのだ。
子山羊は、電車道もこえてきたのだ。電車にもひかれずに。あの土手のこわれたところも、うまくわたったのだ。