Japanische Klassiker mit Furigana
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かわ
牛をつないだ椿の木
Lesen Sie 牛をつないだ椿の木 (かわ) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 75.647 Zeichen · 155 Bildschirme
「サルビヤだよ」
といって、美しい少年の太郎左衛門は歩きだした。むこうが話しかけたんだから、こっちも話していいのだと思って、久助君は、すこし胸をおどらせながら、
「横浜からきたのン?」
ときいた。横浜からきたことは、もう徳一君から聞いて知っていたから、いまさらきく必要はないのだが、ほかにはなにもいうことがなかったのである。ところで久助君は、きいてしまってから、ひやあせが出るほどはずかしい思いをした。というのは、「きたのン?」などということばは、岩滑のことばではなかったからだ。岩滑のことばできくなら、「きたのけ?」あるいは、「きたァだけ?」というところである。しかし久助君には、日ごろじぶんたちが使いなれている、こうしたことばは、この上品な少年にむかって用いるには、あまりげびているように思えた。といって久助君は、岩滑以外のことばを知っているわけでもなかった。そこで、どこのことばともつかない「きたのン?」などという中途はんぱのことばが出てしまったのである。もし徳一君や、加市君や、兵太郎君など、日ごろのなかまがいまのことばを聞いていたなら、あとで久助君は、背中をたたかれたりしながら、どんなにひやかされるかしれないのだが、ありがたいことに、それを聞いたのは、太郎左衛門だけである。