Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme

Aozora Bunko

ひとりしていかにせましと侘びつれば

そよとも前の荻ぞこたふる

また秋が来たとき生絹は笛吹く人の許に殿仕していたが、落着いて見れば津の国からの便りもあらず、生絹も雑用に趁われて問うこともなかった。今朝は荻薄にそよ風の亘るのを見て、津の国の秋迫る日をおもい出て、その荻のほとりを去ることができなかった。笛吹くあるじの懇ろさはあったが生絹はそれをしりぞけたことも、一度や二度ではなかった。生絹はいいかわした人のあることを言ってしまった方がいいと考えていたが、それをそのようにはっきりいえなかった。笛吹く人は生絹の手入してくれる笛、笛袋にも生絹がいなくてはならぬようになっていた。とり分け生絹の歌のしらべは笛吹く人にとって音色に合わせるには、すぐれた優しさをもっていた。笛吹く人はそういう歌をつくる人と行き逢うことを永い間、この人生でもとめあぐんでいたのである。自分の心と一緒のしらべを持つ人はどこにも、いままでには見当らなかった。

生絹は笛の音を簀の子に出て、膝に手を置いてきき入っていた。吹く人はただ生絹の心をめあてに吹きいっているようで、ほかに、誰も聞いてほしくないふうであった。