Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
家の中は正月半ばになると見ちがえるほど清く美しくなって行った。筒井自身はときどき箒を持ったまま襖に対って、じっと、或る考えごとにとらわれ、はっとして仕事にかかることがたびたびだった。水郷の貞時の家、そしてきらびやかな正月の宴も、筒井が去っては催物の数々が控えられたことであろう、しんせつな父君、額の若い貞時に永い三年を待たせたことなど、自分は何という大きなうそをついていたことであろう、筒井は終日、鬱々としてそれらの愉しかった水郷の家のことが、心におおいかかって来てならなかった。
哀れな唖の娘は筒井を慕い、筒井は彼女をできるだけ明るくみちびいて行った。唖の娘の言葉は筒井にははじめのほどは分らなかったが、しだいにその表情で解るようになった。彼女はただ終日、あああ……というだけだった。その言葉をよみ分けるために筒井は小鳥の餌をすってあたえてから、この唖の娘の頬になみだのあとがのこった。彼女のほしいものも分り、弟を呼ぶときの調子が解れば弟を呼ぶのであった。弟は美しい水々しい紅頬の少年だった。彼は筒井を好いて、筒井のあとばかりを趁うて慕った。父という人は筒井を娘のように愛し、おなじ物をあたえ、おなじ食べもので劬り時々ふしぎそうに筒井にたずねた。