Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
そしていま一日、もう一日と停められているあいだに、筒井は気が気でないようなあせった気持になった。哀れな唖の娘は終日彼女のそばを離れず、弟も同様はなれなかった。唖の娘はさまざまな海の貝、衣裳の断ちぎれ、造花を筒井におくり、宮腹の主人は紅梅色の襲を生きがたみとして贈り、亡妻のこまごまとした女物を筒井にあたえた。別れを惜しむための家だけの宴がもよおされ、春の菜のあつものにさびしい一夜を送った。
そのあいだに貞時は二度尋ねて来たが、この不倖な家からすぐにも筒井を引き出すことが出来なかった。彼自身の幸福のために、あまりにも人を悲しがらせたくはなく、むしろ、快くあと二日くらいはとどまることを彼自身から申し出たほどであった。二度目のときはすでに十日を過ぎていて、貞時自身も一刻も早く筒井のそばにいたかった。彼は主人が座を立ったあとで、せき込んだ悲しい掠れた声音になっていった。
「我ら何事も手につかぬほど待ち申しているほどに、一日もはやく来て下され。」
「わたくしももう参りたくはぞんじていますけれど、いま一日お待ちくださいませ。」
貞時が去った後二日、やっと筒井は宮腹の家に別れを告げた。