Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
あやめの数は二人の男の通う同じ日取りの同じ数をかぞえていて、株のわかれめに莢ほどの蕾の用意を見せ、緑は葉並を走ってすくすく伸び上っていた。数えれば七十幾本に及ぶ芽立は、津の国の人と和泉の国の人の通いつめた日取りをかぞえていた。橘は、どちらを愛しようと考えるひまもなく、二人は同じ夕の時刻にやって来て同じ時刻にかえって行ったから、橘は、同じ人間が二つにわかれて来るのではなかろうかと思うくらいだった。物腰の静かさもそうなら一人が咳をすれば、間を置いてまた一人がそれを遣っていた、顔容もこれほど似た人は多くあるまいと思われるくらい、青年の盛りともいうような頬や鼻には美事な照りを含んでいて、少し硬いくらいな額の明るい広さもそっくりだった。知らぬ人が見たら兄弟だと思うであろう。橘はどちらを離して見ることが出来ず、どちらが優っているとも思えなかった。こんなにして通う一人につけばあとの一人はどうなるだろう、橘はそんな気は少しも持たず二人のどちらにも、歌は返さなかった。唯、橘自身の気持にははじめはそわそわした心嬉しさばかりが先に立ったが、次第にこれは一体どうなる二人であろうと、それをどのようにしたら自分の立場があるのかと、橘は、そんな気の重たさが一日ずつふえてゆくような気がした。