Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
装いを凝らした二人は鋭い眼を中の庭にはしらせ、仕えの女たちのうごきにも心をときめかしたが、橘は依然姿さえ見せなかった。和泉の国の人は皮肉とも悲しみとも分けがたいものを、津の国の人は持って行きどころのない混乱を、そしてそれらはお互の意地ずくで何処までも打通さなければならない、ぎりぎりの処におしよせられていた。橘という女の問題は失われて行っても、人間のいのちの向い合いがどこまでも続けて行かなければならない、無理無体な状態にはいって行った。はじめは眼をさけおうていたが、日が経つとちらと交した眼附にも、お互にまた来ているという言葉があらわれるだけで、あとは冷酷無情の眼のつつきあいしかなかった。津の国人は和泉の国人の顔をみるために遣って来るものとしか思えず、どちらも、珍しくもない仏頂面をあわせるだけで、橘姫のしみるような顔の柔しさは絶えて見るべくもなかった。二人の若者はこのような空々漠々のあいだに、いつでも眼に見えてくるものはお互のいのちがどういう機会にか、相触れなければならない相殺的な予測がされてくることだった。そして、それらは不思議に一日ずつふくれ行き、一日ずつ積みかさなって行く或る重たさがのしかかって行くことだった。