Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
」
「侍が何か。いまは山者のあぶれ女じゃ。」
袴野はこういうすてが気負って言っているのだと思ったが、落著きはらったすてに、こういう無関心な冷たさがあろうとは思えなかった。袴野すらも手に負えない貝ノ馬介を、一撃のもとにやった事が袴野の驚異以上のものだ、こういう驚異の元になるものを持つすてに、彼はにわかに警戒さえも感じた。わかい野伏と事をはかっておれにかかって来ることがないとも限らない、きょうは今までにない不思議な美しさを、彼はすての全面に感じた。殺意の後に来る色を失っている皮膚の乾燥した、わずかなやつれがやっと際立って見えた。
「すて、おれはお前をきょうから大事に仕えるぞ。」
すては返事をせずに、依然、自嘲をつづけた。
「おれは余りに嫉妬深かった、お前の本来の心も知らなかったのだ。」
「それより貝どのを鄭重に埋めてやりや。」
「うむ。」
「貴人のようにあつかってやってくだされ。」
その時、袴野は偶然に貝の死体を小者にはこばせながら、その後について言った。
「すて、おれも何時かはこんな目に遭うかも知れない、対手は何処にでもいる。」
「山者は仕方がないわ、野晒しさ、あたしだってね。