Japanische Klassiker mit Furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme
「何時かの四条院の姫様の所にこの子をお預りしていただくのや、姫とお約束してあるのだ。」
「そしてもう帰らぬか。」
「それは判らぬ、この子をしかと預かってもらえるかどうかによってだ、十三から育ったあんたの恩は無下にしない。」
野伏ノ勝が絞るような声音でいった。「戻って来なされい。」
袴野は一生懸命にこれも優しく言った。「必ず戻れ、都ではお前のような女はおちついていられぬぞ、これだけは真実だ。」
「戻るか、戻らないか判らない。」
袴野のいいつけで一頭の馬が用意され、すてはそれに跨ると例の羅の虫の垂衣を抱えて、それを証拠に四条院の邸と聞いたみやこに、山の塞を去って行った。茫然となすことを知らざる余りに不意な出来事に、袴野はいまさらすてのすべすべしたからだを、殆ど全身にむず痒く感じながら物ほしげに見送った。