Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
「これはいらっしゃい」
と云ったものの、宿の男や女たちは、変な顔をして眼を見合わせた。
着流しで浪人の姿ではあったが、しかし立派な若い武士が、馬借宿などへ来たのであるから。
「泊まりではない、心配するな」
三十郎は笠の中で笑った。
「由蔵という博労がおろう、当家に宿を借りたであろう」
「へい、さようで、お泊まりでござんす」
「ちょっとその男を呼んでくれ」
「かしこまりました、ちょっとお待ちを」
男衆が奥へ素っ飛んで行ったが、すぐに三十一、二にもなろうか、博労らしい男を引っ張って来た。
「こりゃア旦那、おいでなさいまし」
「由蔵、ちょっと耳を貸しな」
「へい、よろしゅうございます」
二人は揃って戸外へ出た。
「一件いよいよ今夜やるよ」
「一件、旦那、一件といえば?」
「野郎を俺が叩っ斬り、女と人形とをお前たちが攫う……」
「ああなるほどあの一件で」
「そのため従いて来た貴様たちじゃアないか」
「ちげえねえ、そうでした」
「で今夜火事を出す」
「火事を? へえ、どこへですい?」
「奴らの泊っている桔梗屋へよ」
「で、誰が火事を出すんで?」
「俺よ、刃三十郎よ」
「荒療治だ! 荒すぎますねえ」