Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
「ところで松浦氏今夜いよいよ、右内殿奪取を実行仕る」
と、兵庫は厳めしい声で云い、その手筈をくわしく話した。
同じこの夜のことである。
本陣備前屋の奥の部屋に、五十嵐右内が端座していた。
罪状があってないようなもの、それに身分が武士であり、人格も勝れているところから、手錠なども外されて、普通の士人としてあつかわれていた。
隣室幾間かには警護の武士が、十五人がところ泊まっていた。
もう夜はずっと更けていた。
幽かな行燈の火に照らされた、右内の姿はやつれていて囹圄の人、らしいところはあったが、眼には活気と精気とがあり、気力の衰えていないことを、それによってあらわしていた。
紀州表へ護送されたあげく、その地で多くの他の同志と共に、曖昧のうちに吟味もされず、刑殺されるのだということは、彼にもハッキリわかっていた。
(大事を企てた男子としては、一旦事が破れた暁、この世を辞するは当然のことだ)
こういう考えを持っていたので、刑殺される一点については、さして苦痛も感じなかった。
が、彼としてはただ一つだけ、まことに心外のことがあった。
党の会計方にあずかっていて、軍用金とすべき大金を、ある一所に隠して置いた。